第29章 家族
理事長室。
ローテーブルを挟んで、私と入間が座り、向かい側のソファーにおじいちゃんが座る。
オペラさんはおじいちゃん側のソファーの近くに立っていた。
「じゃあ、美雪ちゃん、今回の事について、話をしようか。」
「……はい。」
「美雪ちゃんは、現実問題、どうしたい?」
「……自分の体調が心配です。」
「そうだね。」
緊張する。
言いたいことなんて、纏まってないし、どうしたらいいかなんて判らない。
逃げれるものなら、逃げたい。
でも、この先、ここ魔界でやってくなら、味方を作らなきゃいけない。
気持ちをぶつけるしかないのだろう。
「失礼を承知で、言わせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「大丈夫だよ。」
「私、情けなくて。」
言ってることは支離滅裂かも知れない。
「入間が頑張ってるのに、大人の私が弱くて、泣き虫で、情けない、凄く悔しい、もっと、強く居たい。なのに、身体がついてこない。ことあるごとに体調を崩して、足を引っ張って、期待に答えられないのが悔しい。」
「美雪ちゃん、……焦らなくても良いんだよ?」
「だ、って!私、オペラさんに嫌われてるんですもん。」
入間は頑張って、結果を出してる。
私は、何も出来てない。
それに比例するように、オペラさんの態度はよそよそしい。
無言で責められているような気がしてた。
「毎度毎度迎えに来てもらったり、心配とか、迷惑とかかけるから、嫌われて、当然なんです。」
情け無さすぎて涙が出てきた。
「……オペラ。」
「………………申し訳ありません。」
「?」
オペラさんが膝をつき、私の前で、頭をさげた。
何が起きたのだろう。
おじいちゃんは若干、怒りの態度だし、オペラさんはそんなおじいちゃんを恐れているようだし。
「オペラさん?」
「…私は、美雪様に素っ気なさ過ぎました。
しかし、それは、貴女様を疎かにしたり、侮っているわけではなく、……どう接すれば良いのか、距離を測れずに居た私の落ち度です。
私の判断の甘さで、貴女様を悲しませ、傷付けたこと、深く謝罪致します。本当に申し訳ございません。」
いたたまれない。