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異次元の出会い(魔入間)

第27章 前夜祭



昨日の夜、寝る前に、制服がシワになるからと研究室にあったバラム先生の私物の服を借りていたのだが、所詮、彼Tシャツになっていて、恥ずかしい!
渡された服に着替える。
七分袖の前でボタンを閉めるワンピースだった。
色合いは、紫。
バビルスの先生方が着ている制服に色は似ている。

「着替えました。お借りした服は、」
「また使うだろうから、ベッドに置いときなよ。」
「はい。」

簡単にベッドメイクした毛布の上に畳んだTシャツを置いて、バラム先生の所に行った。

「どうぞ。」
「あ、はい。ありがとうございます。」

朝食。
何だろ、内容が豪華。

「わざわざ用意してもらったんですか?」
「うん。カルエゴくんがね。」
「カルエゴ先生が?」
「その服も。」

悪周期で外出を制限されるなら、少しは不自由無いようにしてやろうと言うカルエゴ先生の気遣いらしい。
きゅん、と来ました。

「……カルエゴ先生、優しいですね。」
「そうだよ。見かけによらず、優しい。」
「ふふふ。」

カルエゴ先生に感謝しながら、いただきますをして、食べ始めた。
そう言えば、と気になり訪ねた。

「バラム先生はもう召し上がられたんですか?」
「……うん。もう済ませたよ。」
「?誰かと食べるのは、苦手ですか?」
「あー僕ね、牙が獰猛な質でね。その上、昔あった事故で怪我をして、それがもとで牙がむき出しでさ。見せると怖がられるし、ご飯を食べてると溢しちゃって、食事風景が汚いわけだから、あんまり他の人とは食べないんだよ。」
「そうなんですか。じゃあ、私、とてつもなく先生の負担に、」
「いや、そんなことないよ。」
「でも。」
「美雪ちゃんは考えすぎだよ?」
「でも、先生の生活圏に入り込んでるのに、迷惑かけっぱなしも悪いと思うんです。」
「……じゃあ、1つ、君の秘密を教えてくれたらチャラにしよう。どうかな?」
「秘密を?」
「そう。言えないなら、気にしない。それでいいよね?」


バラムside

心理的に言えば、自分の秘密と他人への迷惑を天秤にはかけない。
だから、彼女の行動は驚きだった。

「私の秘密を教えたら、先生は自分のいつも通りの生活をおくれますか?」
「まあ、そうかな。」
「じゃあ、私の秘密を聞いてください。」

そう、初めから、彼女は規格外だったのだ。

「私は、人間です。」
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