第27章 前夜祭
前夜祭の朝、
おじいちゃんは、まだ、帰ってきていない。
美雪さんもいない。
オペラさんによると、昨日の朝、早く出ていってから帰ってきていないらしい。
カルエゴ先生から連絡があって、学校に暫く泊まり込むそうだ。
若干、オペラさんの機嫌が悪い。
美雪さんが絡むと、オペラさんの機嫌は悪くなる。
何故なのか、聞きたいような、聞きたくないような。
学校に行けば、美雪さんに会えるかな?
きっと、僕らはまだ、話さなくちゃいけないことがあるんだ。
バビルスの奥の奥にあるバラム先生の研究室。
ここには、外の喧騒は届かない。
聞こえるのは、鳥が囀ずる声。
昨日、バラム先生の研究室に泊まった。
バラム先生とのカウンセリングの途中で眠ってしまい、目が覚めると、夕方近くで。
カルエゴ先生から、外泊の許可がとれたから、帰らなくて言いと言われて。
酷くホッとしたのは、内緒だ。
筒抜けだろうけど。
オペラさんに何て説明したのか聞いてみれば、
悪周期の前兆がある。とばか正直に話したらしい。
まあ、人間だって知っているオペラさんが仮にも、
「人間だから悪周期があるわけない。」
なんて否定するわけもなく。
あっさり、そうですか。と許可をくれたと言う。
いつの間にか、出来上がっていた簡要ベッドに寝かされて。
数時間寝ていたのに、また、寝れてしまったのは、やっぱり病的だと自分では思う。
でも、このままだと悪周期の治療をされるのは目に見えている。
悪周期のクスリを本当に飲んでいいのだろうか?
人間的な影響はないのだろうか?
本当は人間なんだと言った方がいいのじゃないか。
悩みに悩みまくった。
「起きたの?」
「あ、おはようございます。」
ベッドの上で散々考え込んでいたら、バラム先生に声をかけられた。
ベッドから出て、近寄ろうとしたら、
「まって、此方来ちゃダメ。」
「えっ?」
何だろう?
私なにかしちゃったんだろうか?
狼狽えていたら、
「ごめん、君は悪くない。これに着替えて。」
「??」
服を放って渡された。
制服じゃないな。
そこで、思い出したのは、自分の格好。
はっ!私なんて格好で。