第26章 師団披露
只今、バラム先生の膝の上でサンドイッチを食べてます。
先生は、見た目のせいで大好きな生き物に怖がられてさわれず、そのジレンマから過度な触り癖があるのだそうで。
撫でられるだけなら別に。
……むしろ、落ち着く。
よく咀嚼して、味わって食べた。
そう言えば、最近は食べ物の味もあんまりしなかったな。
精神的に参ってる訳だ。
味覚が曖昧になってるのも気がつかないなんて。
「ごちそうさまでした。」
「お粗末様でした。」
食べ終わったら、書き込んだ問診票を元に色々聞かれた。
聞かれても、答えられる内容なんて、自覚してる事しか話せないし。
……弱味をさらけ出すのが怖い。
頼って良いのかな?迷惑じゃない?
言ったことが、入間君やおじいちゃん、オペラさんにバレないかな?
だんだん怖くなった。
「……大丈夫だよ。聞いたことは誰にも喋らない。
美雪ちゃんが良いって言わない限りは。絶対喋らない。だから、言いたいこと、言って良いんだよ?」
「…私、」
「うん。」
「入間君が羨ましい。私が出来ない事、言えない事、してほしい事、全部、難なくクリアしちゃう。難なく何て事はないけど、出来ない私からしたら、すんなり出来てる気がして。
私、あの子より年上だから、あの子の事、守らなきゃいけないのに。憎んじゃ駄目なのに、羨ましがっちゃ駄目なのに、あの子より出来なくちゃいけないのに。」
「うん。うん。」
「………先生の手、気持ちいいね。」
ああ、そうか。
私、誰かに誉められたくて、撫でられたくて、
上手くいかなかったから拗ねてたのかな。
「先生、もっと撫でて下さい。」
「?いいよ。」
私、寂しかったんだ。
いつの間にか、寝ていた。
「安心しちゃったみたい。」
「……どうする?」
「うーん。悪周期の前兆だとしたら、ストレスがかかる環境には戻さない方がいいかもしれないけど。」
「……あの人を納得させるのか、はあ。」
お昼休みにどんな様子か見に来たカルエゴ先生。
バラム先生の腕の中ですやすや眠る美雪をどうするべきか話し合った。
厄介で苦手な先輩にどう説明するかも悩んだ。
おまけに、
「理事長が魔関所に拘束されたらしい。」
「それは、めんどくさいね。」
「理事長代理になった。それで納得させるか。」
「そうだね。」
無理矢理なこじつけだが、致し方ない。
