第26章 師団披露
「師団披露?」
「うん。オペラさんが言うには師団の活動内容の発表会と新入団員のお披露目会なんだって。印象的には、授業参観みたいだよ。」
「へー。」
「出店とか催しとかも有るんだって。おじいちゃんは、見学に来るのとても楽しみにしてくれてるみたい。
凄い撮影機材には引いちゃうけど。」
「そうなんだ。」
「美雪さんも元気になったら、一緒に楽しもう!」
「うん。ありがとう。」
今日も私は、ベッドにいる。
もう、2日も部屋から出られずにいる。
宿題を渡しに来たついでに、学校とかで見聞きしたことを話に来てくれる入間君。
楽しそう。
反対に、私は、卑屈になってた。
顔は笑ってるのに、腹の中で、どす黒い感情が渦巻いてる。
「そろそろご飯の時間だね。
今日もここで?」
「うん。お願い。」
「じゃあ、オペラさんに伝えてくるね。」
入間君が部屋を出ていくと、嫌悪感でベッドに倒れこんで、沈む。
気分も沈む。
ああ、このまま、溶けてなくなればいいのに。
程なくして、ドアがノックされてオペラさんが入ってきた。
「お手数おかけします。」
「…いいえ。私の仕事ですから。」
よそよそしく感じてしまうのは、私の気持ちの問題。
判ってる。
判ってるはずなのに、どうして、入間君と違う対応なのか、イラつく。
自分は、何て、醜いのか。
配膳して、出ていくオペラさん。
会話はない。
無理矢理に料理を詰め込む。
吐き気を覚えるが、無理して食べる。
部屋にいても、孤独が増すだけ。
明日は、学校にいこう。
行けば、少しは気が晴れるはず。
訳のわからない希望にすがった。
早く寝て、早く起きて。
入間君より早めに出て、学校に向かった。
入間君と居なければ、私を認識する人は居ない。
誰も私をみない。
誰も私に気がつかない。
私は、何処にも居ない。
涙が溢れた。
嗚咽に混じって胃から何かが競り上がってくるほど苦しい。
誰か、助けて。
誰か、私を見つけて。
誰か、
「おい、そこで何してる。」
「……カルエゴ先生……」
声をかけてきたカルエゴ先生に抱きついて、何時かのように泣いてしまった。