第2章 物語のはじまり。
さあ、医務室に行こうと2人で決めたそのタイミングで、理事長室のドアを破壊するのでは?と言う勢いでやって来た訪問者。
それは、件の首席君。
どうも、まだ、お怒りのようだ。
冷や汗がだらだら流れる。
首席君は一目散に入間君に向かってくる。
「あっ、アスモデウスく…」
自然と入間君の前に庇うように出てしまった。
ゴクリ、と唾を飲む。
二歩ほど手前で立ち止まると、膝まづき、頭を垂れた。
「先の決闘、あれだけ自分に有利な状況での敗北にもはや、文句のつけようが有りません。」
戸惑う入間君。
これは、なに?
「加えて、この身を医務室まで運んでくださったとのこと、このアスモデウス言葉にできぬ程感激致しました。
敗者は勝者に従属するのが悪魔の慣わし!
よって、
この身全て捧げ、入間様の学園統治に尽力致します!」
「えっ!?」
「早速、新入生全員を配下に収めましょう。」
笑顔だけど、さらっと凄いこと言ったな。
ドン引きだよ。
悪魔の感覚って怖い。
「入間様、先ずは誰から斬りましょう?お命じ下さい。」
「入間く~ん、この写真、学園のホームページのトップ画面にしても良いかな?」
「やめて下さい!!!」
「心中察するよ…………」
鈴木入間、配下1名獲得。
全力でホームページの件を阻止して、誰かを斬りたがるアスモデウス君をなだめて、その日は屋敷に帰った。
「濃い1日だったね?」
「そうですね。……でも、楽しかったかな(笑)」
「なら、良かったね。明日もあるから、もう寝ようか?」
「はい。お休みなさい。」
「おやすみ。」
今日は、ほんの些細な始まりの1日でしかない。
明日からはもっと濃い日々が待ち受けているとは、当事者たちは知らない。