第2章 物語のはじまり。
決闘が始まって、早、20分。
猛攻撃で炎の技を繰り出す首席。
それを華麗に避けてるように見えるけど、実際はめちゃ必死な入間君。
最初、簡単に決着が着くと思っていた面々も、中々勝負が着かないことにざわめきだした。
「全然攻撃してなくねぇ?」
「何?手を出すまでもねぇって?すげぇな。」
「……私には攻撃するに値しないと言うことか?」
「いえいえいえ。僕なんて虫けらみたいなもんで、」
「お前は虫けら以下だとよ!」
「尻尾巻いて逃げちまえとよ!」
「もっと殺れ殺れ!」
「ち、違うんです!!!!!!」
入間君もタイミングの良いんだか、悪いんだか、都合の良い方に取られちゃってるね。
あっ、
プッン
切れちゃった。
「ッッッなんたる侮辱!!!!
魔術が利かぬのなら、武力でねじ伏せるのみ!!!!!」
首席君は、炎の剣をだし、入間君に向かっていった。
入間君の身体能力なら、武力でも同じだろうに。
頭が良い反面、頭に血が上って、正常な判断ができなくなってるな。
入間君は、首席君の力をいなして、避けた。
「きゃああああ!!」
あっ!危ない!
反らされた首席が、観戦してた女の子悪魔に突っ込んでいく。
反対側にいる私からじゃ、間に合わない。
どおっん!!!!
凄まじい音と土ぼこりで一瞬視界は見えなくなったが、次第に晴れて、目撃したのは、見事なジャーマンスープレックスだった。
見物していたものたちにより、後に語り継がれているそうな。
理事長室。
「入学式で禁忌呪文を詠唱し、その日の内に首席の頭をかち割る!!サラブレッド入間、大悪行!!」
校内新聞にはいかに入間君が注目されているかの内容が記載されていた。
入間君は大分落ち込んでいて、
「大変なことしちゃった。謝りに行かなくちゃ!」
可哀想なぐらい狼狽してた。
おじいちゃんは
「さすが僕の孫。幸先いいね~」
明後日なこと言ってた。
悪魔にとってこれが普通なのだろうか?
入間君どうよう、先が思いやられる。
「後で、一緒に首席君に謝りに行こう?ねぇ?」
「美雪さん……」
同じ人間どうし、やっぱり感覚や気持ちはわかってあげれるから、なるべくホローしよう。