第22章 1年生争奪戦。
さて、廊下を歩いた先で見たものは、アズ君の話の通り、無茶な勧誘をする先輩方の姿でした。
どっかの師団と師団が1人の生徒を引っ張って取り合いしてたり、呪文で呼び寄せたり、暗示か催眠かをかけて見学希望書を書かせたり。追いかけたり、引きずり回したり、鍋で煮込んだり。
まさに阿鼻叫喚。地獄絵図ですね。
さすが、魔界にふさわしい。
「何て言うか、ルーキーハントって凄まじい。」
「しかし、大丈夫ですよ。こう言ったときに生徒の統率をとる師団こそ生徒会です。」
響いてくる足音。
その音にあわてふためく悪魔達。
「生徒会だ!」
「道を開けろ!」
言われた通りに進む道が開かれる。
生徒会長が声をかけただけで、強引な勧誘をしていた悪魔が逃げてった。
凄い。
そんな悪魔と知り合いな入間君はさぞかし、誇らしいだろ、……えっ、何その顔。
知らなかったんかい!?
どんだけ鈍いのさ。
アズ君に知り合いでしょう。と声をかけられて、驚きの悲鳴をあげた入間君に気付いた、生徒会長が此方に近づいてきた。
アズ君が結界を解く。
「会長、ご公務お疲れ様です。」
生徒会長の視線は入間君から外されない。
周りがざわざわ騒がしい。
生徒会長がチラシを差し出した。
「生徒会も師団だからな。新人を募集している。
前回の昇級試験見事であった。伸び代があると判断したのだ。断じて、もっと頻繁に会って読書をしたいとかでは断じてないぞ。」
「光栄です。」
アズ君がチラシを受け取った。
「何時でも師団見学にこい。」
会長は去って行った。
会長、可愛い。
恋する乙女は違うね。
チャイムがなる。
ルーキーハントが終了したことを意味していた。