第2章 物語のはじまり。
「……に代わりまして、特待生入間君。入間君は登壇して下さい。」
「マジか、」
名前を呼ばれた入間君は顔面蒼白で壇上へ上がっていく。
「もう一人の特待生美雪さんも登壇して下さい。」
「マジか(´Д`|||)」
足取りが重い。
気分は絞首台に登る囚人のよう。
壇上に登ると、入間君の隣に立つ。
壇上から見下ろす悪魔達の眼は鋭い。
「『観客はカボチャ。観客はカボチャ。』」
きっと、2人とも空気になりたかったと思う。
「あべるはぅけ、」
えっ、入間君は何を唱え始めたの?
呪文なんて一切知らないはず。
講堂中の悪魔が驚愕していたように、私も別の意味で驚愕していた。
悪魔達の反応からして凄い呪文なんだろうけど、唱え終わった後が怖い。
「……つれさざ。」
どうやら、唱え終わったようだ。
一気に悪魔達が沸いた。
「えっ、えっ、えっ?」
「駄目じゃないか、君。禁忌呪文なんて唱えたら!」
「禁忌呪文!?」
何てものを唱えるんだか。
入間君の反応からして、知らずに唱えたようだ。
となると、おじいちゃんの入知恵か。
「因みに効果とかは?」
「1日転ばなくなるよ。」
「ショボ」✖️2
ショボい効果はさておき。
入学式は閉会して、解散になった。
「おじいちゃんは、入間君に何かさせたいのかしら?」
「ですかね?……僕は平凡なのが一番なんですが。」
「だね。……でも、楽しいなら、少しは刺激があるのも良いかなと思うけど。危険がないなら。」
おじいちゃんが何かさせたいのかな、何て勘ぐっていると、入間君は首席に呼び出されてしまった。
「決闘だなんて、誰か呼びに行った方がいいのかしら。……でも、そんな雰囲気出もないよね?」
止めた方が善いとは思われるが、いかんせん、回りの流れは、囃し立てる雰囲気。
悪魔ってやつは、とことん血の気が多いのか?
ごめん、入間君。
私にも止めること出来ない。
もう、成り行きを見守るしかない。
心苦しいが、ひびりで小心者な私は口を出すことができなかった。