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異次元の出会い(魔入間)

第15章 それぞれの気づき



カルエゴside

アホから腹へのダメージを受け、居合わせた美雪にほぼ強制的に医務室まで連れてこられた。
ズキズキと痛むが、時間がたてば痛みは無くなる。
それを、何かあったら心配だからと言う美雪は悪魔にしては心配症だと思わずには居られない。
ベッドに横になるように言われ、それにしたがっていれば、ごそごそと何か物色し出した。
何をしているのか問えば、冷すものを探していると言う。
全くおかしなやつだ。
他人の為に一生懸命なのは、こいつの弟を連想してしまう。
そこは姉弟と言うことか。

「湿布ぐらいはあるだろう、」

生徒に何かさせて、教師である自分がなにもしないのも気持ちが悪い。
手伝う為に、ベッドを降りようとすれば、鎮まっていた痛みがぶり返した。
痛みにぐらついた私の身体を素早く支えた。
……距離が近い。
言い知れない芳しい匂いが強く感じられた。
身体がカッと熱くなる。

「大丈夫ですか?無理しないで下さい。」
「……過保護すぎるだろ。」

労ってくれるが、気恥ずかしかった。

「!?何を…」
「ちょっとだけ、このままでお願いします。」

いきなり抱き締められて、ビックリした。
思考が止まる。

「……先生、良い匂いがする。」

胸元に顔を埋めて、息を吸い込んで、匂いを嗅がれる。
益々、熱が上がる。

「貴様、いい加減にしろ!」

言葉と裏腹に、またしても、引き剥がすことができない。

「先生の匂い、好き。」
「/////////(ぐわぁ~)(///―///)」

なんだこの展開は!?
恥ずかしすぎるぞ!!
私は、どうしたら良いのだ!?

「先生、」

何を言われるのか、年甲斐も無くドキドキしてしまった。

「洗剤は何を使ってますか?」
「……はぁ?」

肩透かしを食らうとはこう言うことか。

「先生の服、私が好きな良い匂いします。何の洗剤使ってるか教えて下さい!」

焦って損した。
今度はべりっと音がしそうなくらい勢いよく剥がしてやった。

生徒相手に何を考えたのか。
……疲れてるのだな。
今日は、もう、帰ろう。
帰って、サボテンを眺めよう。


「先生ごめんなさい。」

大変疲れたような先生の後ろ姿を見送りながら、心の中で謝った。

「ワァーオ、カルエゴ先生相手にここまでやるなんて。評価A+」

課題クリア。


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