第10章 悪食の指輪
「こーら!それはだーめっ!」
カルエゴ先生が振り上げた指を止めたのはおじいちゃん!
「おじいちゃん」✖️2
「理事長!!」
「はぁーい。おじいちゃんだよー」
颯爽と現れたおじいちゃんは、私と入間君に優しく笑いかけ、手を振ってくれた。
「もうっ、カルエゴくんたら、今入間君の腕ごと吹き飛ばそうとしたでしょ!」
えっ!?そんな怖いことしようとしたの!?
カルエゴ先生の行動に嫌な感じがしたのはそのためか。
漸く、カルエゴ先生から離れた。
先生が怖くなったから。
「……生徒に危害が及ぶと思ったもので。」
いま、舌打ちした?
プイッと横向いて、おじいちゃんを見ないで言い訳したよこの悪魔。
「コラー!短気は損気!!騒音に驚いて来てみれば……」
「おじいちゃん、危ない!」
カルエゴ先生に怒って、背を向けるおじいちゃんに、
黒煙が牙を剥く。
「よいしょっと、お食べー。」
向かってくる黒煙に手を付きだし、魔力を食べさせた。
黒煙は、おじいちゃんの魔力を食べて、指輪の中に戻っていった。
おじいちゃんは、入間君の手にある指輪は悪食の指輪だと教えてくれた。
持ち主の魔力を溜めておく魔具なのだが、溜めていた魔力が少なくなると見境なく、魔力を食べちゃうのだとか。
お腹を空かせて鳴いていたのだと言われて少し、可愛そうに成った。
「ある程度魔力があれば無害だよー。でも、一度はめたら外せないけどねー」
今、さらっと怖いこと言った!
「しかし、これではランクの測定が!」
「ふくろうくんはたまに変なの出すんだよね。
千年も生きてたらレアなパターンもあるって。」
レアで片付けちゃうのか。
まあ、私達が既にレアパターンなので、そう言うことにしておこう。
「じやあ、皆で記念撮影。デビール!!」
そんなこんなで、初授業も無事終了し、
測定不能の入間君のランクは、一番下のアレフに収まった。
ランクが一番下だから、目立たないと考えている入間君だけど、どうも色々が校内新聞にかかれて、本人の知らないところで悪名を轟かせているようだ。
知らぬが仏とはこの事か。