第10章 悪食の指輪
入間君は頑張って外そうとしたが、指輪はびくともしない。
助けを求めて手を伸ばすが、皆、距離をとる。
泣きそうな入間君に入間君が気づいてない事を教える。
「だって、それ、」
入間君の着ける指輪から何やら黒煙の様なものが出ているのだ。
皆、それを怖がって距離を置いたようだ。
本能的に何かを察知したのだろうか?
「わぁぁぁ!何だこれぇ!?」
やっと気がついたらしい。
まあ、不気味だよね。
何とか振りほどこうと走り回る入間君。
カルエゴ先生に助けを求め、追いかけたが、
「えぇい、振り回すなー」
と、拒絶の言葉を吐かれ逃げられていた。
先生、落ちるー、、
まだ、くっついてますー
「【ヴォオオオオォォオオ!!!!!!】」
指輪の黒煙が吼えた。
皆が耳を塞ぎ、地面に倒れ、悶えている。
どうも、騒音に苦しんでいるようだけど、
入間君と私には何ともない。
先生も少し堪えているようだ。
「入間君は平気なの?」
「い、一応、」
「じゃあ、泣き止ませて!」
「えっ?こうですか?」
「口塞げってことだよ!」
泣き止ます。=あやす。
になった入間君はよしよしと抱き抱えて必死に泣き止ませようとしたが、あまり、効果がなかった。
「はぁっ!子守唄。」
クララちゃんが何かを閃き、子守唄を歌い出して、騒音が増えた!と騒ぐ面々。
割りと嫌いじゃないけど。
おっ、謎の黒煙ものりがよく、歌にあわせて踊ってる。
愛想の良い黒煙に楽しんでちょっかいを出すクラスメート達。
「楽しむな貴様ら!!」
カルエゴ先生が怒鳴った。
もう、コントだな。
サブノック君がどうやら黒煙を引っこ抜こうと近づいたが、返り討ちにあった。
アズ君も、サブノック君を不甲斐ないとけなしたが、結果は右に同じだった。
「どうやら、魔力を吸われたようです。」
尚も近づこうとするアズ君は、吐血までした。
被害がすご!
「入間、ちょっとよく見せてみろ、!!」
カルエゴ先生が入間君の真後ろから指輪を観察するために近づいた。
一瞬、動きが止まる。
どうしたのかな?
「先生!先生、大丈夫ですか!?」
突然動きを止めた先生を心配して入間君が呼び掛ける。
一拍おいて、先生は、右手をゆっくりとあげた。
何故か、その動作に嫌な予感しかしない。