第86章 デビラム
宮殿の様な建物の中に入ると、
ドレスやタキシードを着ている悪魔たちが集っていた。
どうやら、何かのパーティらしい。
「貴族会(デビラム)デビューだよ。」
キラキラの会場。
豪華な料理。
色とりどりに着飾った貴族の悪魔達。
「いいんですか?
私たちをここに連れてきて。」
入間は美味しそうな料理に目をキラキラと輝かせて品定めしている。
「良いんだよ。
自慢の孫たちをお披露目したかったんだから。」
力のある悪魔のおじいちゃんが隠してるのだから、
簡単には正体(人間)がバレるわけはない。
その自信があるからこそ、こうやって連れ回せるのだろうと思う。
「大丈夫だよ。
美雪ちゃんにはエスコート役を用意してあるからね!」
「はい?」
エスコート役として現れたのは、
学校ではお目にかからないだろうぐらいの、
凶悪な表情のカルエゴ先生でした。
バビルスの教師服に近い色合いのスーツをまとってはいるが、
所々に中世のファッション?
と思しき装飾があったり、
(ヒダは小さいけど、フリルのワイシャツの袖、
クラバットにブローチ、チェーンのボタン止めとか、)
現代風ファッションも混じっていて、
悪魔の世界の流行とか伝統とかよく分からない。
「カルエゴくん。
今日は僕の大事な美雪ちゃんのエスコート、
任せたからね?」
「・・・お嬢様、お手をどうぞ。」
「は、はい!?」
カルエゴ先生の声のトーンが学校で聞いているのとは別次元だったものだから、驚きすぎて声が裏返っちゃった。
「(ギロッ)」
「よ、よろしくお願いいたします。」
睨まれちゃった。
会場はおじいちゃんの出現でだいぶザワザワと騒がしい。
入間も何か注目されるようなことをしたらしく、
人だかりが出来ている。
おじいちゃんはおじいちゃんで、
「孫の写真!」
と叫んでるのが聞こえるから、アルバムを見せびらかしてるのだろう。
「先生、も拉致られてきたんですか?」
「・・・ああ。
オペラ先輩に、脅されてな。」
「それは、お疲れ様です。
私も、説明もされないで着替えさせられて、
連れてこられて、どうしようかと思っていました。
先生が来てくださって良かったです。」
機嫌悪いです悪魔に声をかけると、少し知ったトーンで返事が帰ってきて、ほっとした。