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異次元の出会い(魔入間)

第86章 デビラム



音楽が奏でられて、周りでもパートナー同士が踊り始めた。

「お前、踊れるのか?」
「あーワルツのステップは踏めないことは無いですが、
音に合わせたりしたことは無いです。」
「つまり、踊れないと。」
「はい、」
「なら俺がリードしてやる。
1曲だけ踊るぞ。」
「え、だ、大丈夫なんですか?
全く踊れない分類ですよ?」
「いいから来い。」

ゆっくりと手を引かれて踊りの輪に加わる。

体を密着させたり、クルクル回ったり、
足を軽く上げたり、抱き上げられたり。

悪魔のダンスは羽を出すことがあるのだけど、
私は羽を出せないことを知っているカルエゴ先生の配慮で
大人バージョンの高い高いをされてフィニッシュした。

「お嬢さん、私と1曲踊って頂けませんか?」
「いえいえ、私と1曲、お願いします。」

曲が途切れると、ダンスの申し込みがひっきりなしにくる。

「あ、の、そ、の、」

返答に困っていると、

「申し訳ないが、婚約者は病弱でね。
1曲で疲れてしまったらしいので遠慮してくれるかね。」

婚約者!?

男たちの返答も聞かず、
抱き抱えられたまま、テラスの方に連れ出された。

外はすっかり暗くて、ほんのり月明かりが建物を照らしてた。

「あの、カルエゴ先生、下ろして下さい。」

何時までたっても下ろしてくれないから、意を決して
声をかける。
音もなく下ろしてくれたが、
何も喋らない。

「先生?」

反応はない。
真横に立っている先生をみあげると、
ほんのりと耳が赤い。

えっ?
なに、どうした?

「先生、自分で言ったのに、婚約者って単語に照れたんですか?」
「!?」

なぜバレた?
って顔しないでくださいよ。

「耳、赤いですよ?」

益々赤くなった。

やった、この前の仕返しが出来た!

「貴様、覚えておけよ・・・」
「なんの事だか。
お口が悪いですよ。」

照れ隠しのドスの聞いた声は怖いようで怖くありませんよ。

「先生って、貴族なんですか?」
「・・・さあな。」
「まあ、関係ないですけど。」

テラスからは広場が見えて、そこに2つの人影があった。
小柄な人物と大柄な人物がいて、段差でダンスを踊っていた。

「(あれ、入間かな?)」

何となくいい雰囲気みたい。
じゃあ、相手はアメリさん?
入間はアメリさんのことどう思ってるのかな?
今度聞いてみよう。

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