第84章 スキ魔⑲
すっかり長いしちゃって、
1日半も打ち上げをしてた。
しびれを切らしたカルエゴ先生が追いたてるまで、
宴は続いた。
「楽しかったね!」
「うん!」
途中、アズ君が魔具研の部室に物を取りに行って戻って来てからは、様子がおかしかったのだが、
本人に事情は聞けなかった。
何かあったらしいのだが、
追いたてられて学校を出て解散したから、詳しくも聞けず、
少し、しこりを抱えてサリバン邸に帰ってきた。
「おじいちゃんとセッションして、楽しかったし、
お祝いのごちそうも美味しかったし。」
「テレビゲームも面白かったねぇー」
出迎えてくれたオペラさんとおじいちゃん。
ランク昇格と、音楽祭を無事終えられたことを祝ってもらえて嬉しかった。
たくさん、笑って、たくさん、遊んだ。
明日もあるのだから、そこそこにして、自室に戻ってきた。
今日は、あまり入間と話せてなかったし、まだ、話したかったから、入間の部屋についてきた。
言いたいこともあったから。
部屋に入るなり入間の手を握って、喋る。
「入間、私は、あなた程未来(さき)を見据えられてない。
何をしたいか、どうなりたいか、まだ、全然決まってなくて、流されてるだけ。
それでも、あなた達と少しずつでも前に進めているのを実感してる。」
音楽祭を終えて、ランクが上がり、
バビルスの1年生で[5]をとることのプレッシャーを、早くも、危惧してる。
きっと、当初、入間が望んでいた平凡とはかけ離れた道を進み始めているのを当の本人は気がついてるのだろうか?
「私も、この、魔界で何かを成せるように、頑張る。だから、無茶、しないでね?
他の人に頼れることは、頼るんだよ?」
「うん!ありがとう。心配してくれて。」
心配してることはわかってくれた。
でも、きっと、どれ程危険を感じてるかは知るよしもないだろう。
それでも、魔界での家族を私は、守りたい。
「頼りないかもしれないけど、頼ってね。
……私も、頼っちゃうから。」
「…………うん。」
ギュッと、抱き合って、ハグを交わす。
「さぁ!寝よ!」
「うん!」
ちょっと恥ずかしくなって、慌てて離れる。
入間は、何も思ってないようで、ほわんほわんしてる。
おやすみと言葉をかわして、入間の部屋を出た。
自分の部屋に戻りながら、本当にしっかりしなくちゃと、再度心に誓うのでした。
