第9章 飛行レース
私(わたくし)めは、只今、罰ゲーム中です。
いや、本当に罰ゲームですよ。
だって!
カルエゴ先生の隣に座らせられて、飛行レースを観戦させられてるんです!!
何故こうなったか?
それは、私がずるしたからです。
悪魔のクラスメート達が飛び立つ瞬間に反対側に走り、エレベーターに隠れてゴール側まで来た。
まではよかったが、あっさりカルエゴ先生にみつかり、ずる賢いのも悪魔の評価すべき点であるとのことで、おとがめなしでここにいるのだけど、同じ椅子に座る必要は無いのでは?
もう一脚椅子を出していただけるのが物凄くいいのですが、それを言えない私は、黙って、言われるがままにしています。
「魔茶です。」
「あ、ありがとうございます。」
黒い1つ目の使い魔?さんは、なかなか愛らしい。
なでなでしたい。
イレギュラーな私に魔茶を持ってきてくれた。
どうやって淹れたんだろう?
謎だ。
レースは大分進んでいる。
トップはアズ君とクララちゃんで、サブノック君は宣言通り金剪の谷コースへ入っていったらしい。
他の面子も緩やかなスピードではあるが、徐々にゴールへ進んでいる。
残念ながら、入間君を中継魔が見失ってしまい、消息不明。
無事でいて入間君。
スタートから大分たった。
「そろそろ誰かゴールしてもいいころだが…」
「入間様!」
カルエゴ先生がぼそりと呟いたくらいにちょうど一人目のゴール者が来た。
「うん?入間様は何処に?」
「1番はお前か。」
「アズ君!」
「美雪様!?なんと、美雪様が一番ですか?素晴らしい!」
「あははは。(苦笑)」
「ミユミユ!」
「あら、クララちゃん!」
「えっ?…この、これが2番なのか?」
ゴールに入間君がいないことを不思議がる2人に入間君が行方知れずなのを話す。
「私が、一緒に行動してれば、」
「だ、大丈夫ですよ。入間様なら。きっと、偉業を成し遂げてゴールされますから。」
カルエゴ先生には漏らせなかった不安を口にすれば、アズ君は慰めてくれた。
「そうだよ!入間ちだもん。大丈夫だよ。」
「クララちゃん、」
入間君はとてもいいお友達を持ったなとしみじみ思った。