第82章 問題児クラス~リリス・カーペット~
今日の敵は、明日の友。
なんて言葉がある。
収穫祭の時は、怖かった相手だが、
相手からの悪意がなくなれば、見え方は変わってくるもので。
「良い声ねぇー」
力強く、体の芯に響く声。
先入観さえなければ、
声フェチな私は、心惹かれていたかもしれない。
「なるほど!あんな感じにギュインギュイン引けば、ヴァイオリンもエレキギターみたいになるのか!」
相反するジャンルの同じ弦楽器。
参考になりました。
「恋に、バトル。王道のお姫様ストーリー!
でも、焦がれるわー」
女の子は皆、自分だけの王子さまをまってる。
わかりみぃー
他のクラスの演目は、どれも新しく、刺激をくれた。
「ああ、もっとみたい!」
でも、
「時間だ、起立。」
刻を告げる陰険な悪魔がやってきて、私たちを誘う。
さあ!行くぞ。
いざ!舞台へ。
普通、講堂のステージと言えば、
奥行きがあると言っても、狭いイメージはある。
グランドピアノが三台並ぶかギリギリな幅ぐらいだと思うのだけど、
なに?この無駄な広さ?
入学式の時に登ったステージとは似てもにつかないぐらいの広さ。
そこに、入間の引くピアノが舞台袖に鎮座している。
本来なら、プルソンの立ち位置であった入間のすぐ横に私が控える。
緞帳の向こう側から、異常なまでの観客のざわめきが聞こえる。
それほどまでに、問題児クラスは注目されている。
そう、このざわめきは期待の表れ。
このプレッシャーに押し潰されずに、
出しきって、やりとげる。
ロビン先生のクラス紹介が聞こえた。
もうすぐ。
リードくんが飛び出して、ジャズくんたちが引っ込んできたら、
ダンス組でお出迎えと挨拶。
「ようこそ、リリス・カーペットへ」
そこから、入間のピアノ。
ピアノの伴奏に私のヴァイオリン。
これは、
男たちに
求められ
愛された
極上の美悪魔の曲……
問題児クラスのヘルダンス
リリス・カーペット
《アレフ》
彼は、純朴な花売りの少年。
楽しくて 必死で真っ直ぐで、
可愛らしい愛!
でも、
醜い心も愛には必要だわ
さようなら