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異次元の出会い(魔入間)

第79章 おしゃべり



皆が帰っていくのを入間と見送る。

「姉さんも行く?」
「行かない。私は、待ってる。
プルソンが、音楽祭に出てくれると信じてるから。」

もう、私から彼に伝える事はない。
あの日、伝えられるだけは伝えたし、
後は、入間に任せる。

入間なりに、プルソンの言葉を聞いてくれるだろう。

……少し、ずるい奴だなって、自分でも思う。

「……多分、プルソンは、屋上に居ると思うよ。」
「うん。そこを訪ねてみるね。」
「………プルソンのこと、お願いね?」
「任せといて!」

プルソンの居るだろう場所を教える。
笑顔で手を振って、
「行ってきます!」
をする入間。
入間の後ろ姿を見送る。

あの日、プルソンが、居る前提で話していたことは、
私の本心。
でも、居る前提であって、面と向かって言った訳じゃない。
だから、恥ずかしさもある。
彼に向かって投げ掛けた言葉を思い返してみれば、
随分恥ずかしいことを言ったと思ったし、
まるで、去っていく恋人を引き留めるような、
未練たらたらな女の言葉にも聞こえて、
どんな顔して、逢えばいいのか、わからなくなった。

今は、プルソンが、音楽祭に出てくれることを信じて、待つだけ。

そう、信じて待つことが私の今、出きること。
だから、待つ。

………………………
……………………………
………………………………

だからってね?
寝なかったのは、不味かった。

帰宅して、お風呂に入って、
ご飯も食べて、お薬も飲んで。
明日の準備をして、ベットに入った。
目を閉じれば、
何時もなら、数分で寝られるはずなのに、
目が、ギンギンに冴えて、寝れなくて。

古典的やり方で、
羊を数えたり、
眠くなーる、眠くなーると何度も思い込んで唱えてみたり。
眠くなるお茶を飲んでみたり。

寝れなかった…
全部逆効果だったようで、
気がつけば、外は白み始めていて。

もう、寝てる時間なんて無くなった。

早めに準備しようと、潔くベッドから出て、
朝風呂に浸かりに部屋を出たとき、
何となく、入間の部屋を覗く。

「……入間?」

部屋の主は、帰ってなかった。

夜通し会話してるのかな?
まあ、それなりの時間には帰ってくるだろう。

なんて、呑気なことを考えて、お風呂へ向かったのだけど………

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