第79章 おしゃべり
何度も何度も、入間とタイミングを合わせ、
ダンスチームと雰囲気を合わせ、
気持ちを奮い立たせ、
呼吸は整った。
いよいよ、明日、これまでの集大成を披露する舞台がまってる。
「うわ~……」
先生方による音楽祭の説明ムービーが小さな画面で流される。
囃し立てるような内容。
それを見た
ただでさえ落ち着きの無い問題児達が、
ソワソワ、そぞろで、せわしない。
カルエゴ先生の叱咤激励も効果無し。
見かねたクロムちゃんが、
「アクドル(ファン)直伝の自信のつく儀式をお教えしましょう!!」
緊張を解し、和らげようと、
皆がクロムちゃんの助言で、誉めあいを始めた。
様子をみてたけど、
恥ずい!!
私は、遠慮しよう。
そこまで、私は、緊張してない。
「ミユミユも、やろーう!!」
「えっ!ちょっと、クララ、」
皆の円陣の中心に引っ張られて、囃し立てられる。
「可愛い!」
「小動物みたいに愛くるしい!」
「色白で美しい!」
「…クジャクサボテン」
「癒し!」
「お人形さんみたい!」
うん?
なんか、ボソッと誰か、サボテンの名前を言ったよ?
誰?
(わからん筈もないが、言われた本人は解ってない)
羞恥!!
でも、皆の私に対するイメージがわかった。
そっかー自分は小動物だったのかー
意外なイメージも解って、
さあ、そろそろ帰ろうか。
皆も落ち着いたようだし。
最後の仕上げも出来たし。
また、明日!
何て、挨拶を交わして、クラスメイト達が
帰っていく。
「姉さん。
僕、プルソン君と話してくる。」
「……そう。いってらっしゃい。」
入間が、私の隣にそっと立って、そう言った。
まあ、入間も、何となく、このままじゃプルソン君が来ないかもしれないと、
危機感を持っているのだろう。
言い方は悪いが、揺さぶりをかけて来るつもり。
そんな事を考えてる。
入間本人にはそんなつもりは毛頭無いだろうけど。