第1章 プロローグ
「(きゃぁぁぁぁ!)声にならない悲鳴」
「わぁ、わぁ、わぁ、僕だよ僕!迎えに来たよ♥️」
「マジだった⁉️」
「えっ、嘘だったの?騙された⁉️」
「いやいや、どうやって入ったんですか❗️」
「えっ、僕悪魔だもん。施錠されてても何処でも簡単に入れるよ~」
「悪魔?」
目の前のご老人は、自分が悪魔だと言ってはばからない。
目眩がした。
自分は何て厄介なものに関わってしまったのだろうか?
一週間前の自分を怒鳴り付けてやりたい。
「あんまり部屋片付いてないね。」
「……半信半疑だったので。」
「そっか~まあ、見られて不味いものぐらいは処分したよね?」
「いや、別に見られて困るものなんて有りませんけど?」
「そう?じゃあ、行こうか。」
「行く?何処へ?」
「僕の住居♥️」
「へっ?」
パチンと指を鳴らしたかと思えば、体がフワリと浮かんで自称悪魔のおじいちゃんの腕のなかにすっぽりと収まってしまった。
そして、いつの間にか、自分の部屋ではなく、亜空間。と言わざるをえない、説明の出来ない空間に移動してて、戸惑った。
「ここ、何処ですか❗️」
「ここ?魔界だよ?だって、僕は悪魔だからね。」
更に景色は変わり、頭上には赤紫の空に、赤黒い月。
眼下には青黒い大地が広がっていた。
ああ、嘘ではないのだと思った。
私は、悪魔によって、魔界に連れてこられたのだと、認めざるをえなかった。
「さて。正式に契約しようか。」
「?何のですか?」
「孫になる契約だよ?」
魔界の空をおじいちゃん悪魔に抱えられて飛んできて、降り立ったのは大きな屋敷。
どうも、おじいちゃんの住居らしい。
「本当に孫にするつもりなんですか?」
「そうだよ?君は、側に居てくれるって言ってくれたじゃない?
損得なしでそう言ってくれて嬉しかったんだよ。
だから、君と契約したいと思ったんだ。」
「でも、」
「心配しないで。怖いことも痛いこととか、辛いこととかしないから。
僕に優しくしてくれた君に生きる楽しみを与えたいだけなんだから。」
「ぷっ。悪魔なのに幸せをあげたいって、可笑しいですね。」
「駄目かい?」
「本当に私で良いんですか?」
「君が良いんだよ!」
「じゃあ、お願いします。」
「やったー女の子の孫ゲットだよー
これからよろしくねー」
そうして、私は悪魔の孫になったのだ。
