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異次元の出会い(魔入間)

第1章 プロローグ



社畜で、精神も肉体もすり減っていた。

勤続何年の人間なんだから、やれて当たり前、するのが当たり前。
要領はあまりよくない。
それでも、自分なりの段取りでこなしていくが、中々仕事は減らない。
手柄も先輩や後輩に同僚にもとられ、都合の悪いことばかり押し付けられる。
朝イチで出勤して、終電で帰る。
前は、アニメ鑑賞が唯一の癒しだったのに、それすら出来ないくらいの疲弊ぶり。
友達とも疎遠になり、家族とは上京する時に縁を切った。
恋人とも何年も前に別れ、自分なんて死んだとしても、誰も悲しまないな~何て。
卑屈になって、考えてしまった。

「何のために生きているのか、わかんないな。」

存在意義も、存在価値もわからなくて、絶望してた。
そんな時に出会ったのが、諸悪の根元。

「大丈夫ですか?具合が悪いんですか?」
「……おや、親切なお嬢さんだ。」

自分に余裕なんてないのに、他人の心配してどうするんだか。
我ながら呆れる。

「独り身が寂しくてね。
慕ってくれる者達も居るんだけど、満たされない。
血が繋がってなくても家族ってのが欲しくて。
我が儘だね。」
「……そんなことないですよ。
私も、似たようなもんですし。
要らないって切り捨てたのに、誰かに側に居て欲しい何て都合の良いこと考えて、無い物ねだりしてます。」
「……もし、僕の家族になって欲しいって言ったら、なってくれるかい?……孫とか。」
「孫?ですか?娘でも良い気がしますが。
優しいおじいちゃんなら大歓迎です。
私で良かったら、お願いします。」
「……よし、じゃあ、一週間後に迎えに来るよ。それまでに身辺整理しといてね。」
「はい。お待ちしてます。」
「じゃあね~」

夢落ち。
そんな会話した記憶があるが、気がつくと布団のなかで、まあ、願望の成せる夢として片付けた。

……それでも、少し気になって、あり得ない期待を微かに持ちながら部屋の片付けをした。
でも、身辺整理って、何をするもんなんだろうか?

そんなこんなで、約束の一週間後。
期待しないで何時も通りの午前様で仕事から帰ってくると、おじいちゃんが茶ゃーをすすって部屋に居ました。

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