第75章 リリス・カーペット
「今のは私の作った世界…
実際に弾くのは入間、貴様だ。
私のマネではなく自らのイメージで
世界を作らねばならん。
貴様の思うリリスへの口説き文句を表現してみろ。」
「は、はい!」
意気込んで鍵盤を弾き出した入間。
くっ、ぶふっ、ダメ、だめ、
わ、笑っちゃ、
「だめぇ、限界!」
耐えていた笑いは、堰が切れたように溢れて、
止まらなくなった。
何度弾いても、場面は飲食店に居る2人でしかなく。
ロマンチックなイメージは伝わってこない。
入間らしいと言えば、そうだけど、これは、致命的。
「きっさっまっと言うやつは!!!?
根本的な意識改革が必要なようだな…っ!!」
「す、すみません、極上と聞くとつい…」
「全員家に連絡をいれろ!
暫く泊まり込みだ!!」
私も、泊まり込みの特訓を受けることに成った。
「……お前は帰ってもいいのだぞ?」
「あー差別はんたーい!」
「実際のところ、大体は弾けているし、イメージさえ掴めれば、言うことはない。」
「うーん、私は、リリスの女心をイメージしようかなって、思ってます。」
「なに?」
「入間がイメージするのは、男性側からのものでしょう?
だったら、私が入間とプルソン君のメロディーに女心をのせます。
そうすれば、アンサンブルに深みが出るはず。」
「……わかった。へこたれずついてこい。」
「はい!」
私なりのリリス・カーペットを演奏する。
それを、入間達と合わせるように頑張らなくちゃ。
再度、気合いを入れ直すのだった。