第75章 リリス・カーペット
入間達が戻って来るまで、カルエゴ先生がピアノを弾いてくれた。
「はぁわーぁ~」
「何だ、その気の抜けた奇声は。」
「酷い。…先生、ピアノ上手ですね。」
「……嗜み、だからな。」
「此方でも、家柄で教育内容が左右されるものなんですね。…私は、まともにピアノは弾けないので、
上手にピアノを弾けるのが、純粋に凄いと思いました。他にも弾いてください!」
「……いや、休憩は終わりだ。
そろそろ本格的なレッスンの時間だ。」
残念。
カルエゴ先生に断られた少し後に、
廊下を走る足音が聞こえて、
ドアが勢いよく開いた。
飛び込んできた入間とプルソンくん。
驚いてる驚いてる。
カルエゴ先生が指導者だなんて、
恐ろしい。
まあ、普通はそうでしょう。
「遅い さっさと座れ、未熟ども。」
いやー、ムチまで持ち出すとか、そこまでは予想できなかった。
それに、普通はムチって伸びないよね?
長いムチならわかるけど、
あれは、乗馬とかに使うような短いやつ。
でも、さっきから変幻自在に伸びて、
入間やプルソンくんをしごいてる。
痛そー
私は、楽譜を覚えて、二人のメロディーに合わせて弾く。
お手本となる曲を聞いてないから、楽譜通りの強弱を弾くだけ。
感情も込めれれば、もっといいのだろうけど。
で、私は、今休憩中。
2時間ぶっ通しで弾いて、20分間の休憩。
それを繰り返して、今、3回目の休憩。
入間達はもう、既に6時間近く弾き続けている。
うへぇー気を使われてなかったら、
私も6時間コースだったのかな。
おそろしや。
でも、上手になるためには、長時間の練習が必要なのは、人間界でも一緒だったし。
プロのピアニストは1日でも弾かない日があると、
簡単に弾けなくなるそうだから、
相当だろう。
「少しは身に付いたか?
起きろ、次のレッスンだ」
いつの間にか、練習は一段落したらしい。
満身創痍で転がる入間達。
それでも容赦なく、次のレッスンが始まる。