第72章 プルソン・ソイ
教室に来ると、プルソン君を囲んで、
まるで、囲み取材のようなことに成っていて、笑った。
音楽祭がいかに重要で、楽しいか、みたいなことをアピールして、何とかして、出てもらおうと、皆必死。
まあ、梨の礫。
みたいだけど。
プルソン君は目立っちゃいけないから、乗り気じゃない。
バンドをやったら、女の子にモテる、
エリザベッタまで出して、色仕掛けで出演を打診。
それも、失敗に終わる。
うなずきかけたプルソン君は、スーッと消えたのでした。
と、なっているのはクラスメイト達だけで、
私には、見えている。
外に出ていったと見せかけて、
教室の端の柱の影に腰かけた。
私まで動くとばれちゃうから、今は、そっとしとこう。
外に駆けていく音を追いかけて、クラスメイト達も外に出ていった。
入間だけ、外へは行かず、プルソン君の座っている近くの床に腰をおろして、座った。
へぇ~
入間は、何となく、プルソン君のいる場所を察知してるようだ。
野生の感、かな?
さあ、どおするのかな。
お手並み拝見。
ちょっとだけ、離れたところで、2人からは見えない場所に座って、聞き耳をたてる。
「嫌なら、嫌って言ってもいい。
ちょっとぐらいなら、わがままも言っていい、
最近、僕も覚えたんだけどね、」
そっか、入間は、遠慮し過ぎてて、自分を殺してたのか。
自分がしたいこと、興味があることを貫くのは大変。
我慢することが普通になると、執着を捨てるようなものなのかもしれない。
「だから、僕が、聞きたいのはっ、プルソン君がどうしたいかで、」
「僕は……」
そこからは、巻きの高速語りが始まった。
うんうん。
入間も大分驚いてる。
私も、最初、とても大人しい子だと思ってた。
けど、喋りだしたら、物凄いお喋りで、楽しい子だった。
そこに、救われていたのかもしれない。
私の一番のお友達。