第71章 告白
美雪side
真実を、事実を知らないから、
私と彼は、
生徒と教師。
事実は、
私は、成人を過ぎて、学生でもない歳で、
それでも、おじいちゃんの孫として、学校に通ってる。
それを、告白しても良いのかどうか迷う。
きっかけから話さなくてはならないだろうから、
私が、人間だと言うことも話さなくてはならない?
いや、ごまかして話しても、つじつまが会わなければ、鋭いカルエゴ先生の事、やぶ蛇だろう。
やっぱり、おじいちゃんに相談してから話すべきだろう。
でも、どうしたら、泥沼を醸し出す関係を進展させられるのだろうか?
私には解らない。
「先生。
じゃあ、私は、先生に迷惑をかけなければ、学校に居ても良いですか?」
「…勿論だ。」
「……良かった。」
考えて、何となく、導き出せたのは、存在場所の確認だけ。
カルエゴside
何だか、さらっと流された気分だ。
俺は、告白をしたつもりだったが、
目の前の女は学校に居られるか、居られないかを気にした。
その程度の存在なのか?
「………私、先生の事を想っていて良いですか?
…………好きで、居て良いですか?」
「!ああ。……ずるいかもしれないが、生徒と教師である間は、お前を一生徒としてしか見ない。
理不尽だと思うこともあるかもしれないが、理解して欲しい。」
「…はい。」
泣き笑いをする美雪にキスをしたかったのを辛うじてとどまる。
今、生徒と教師の線を引いたばかりだ。
なのに、それを早々に破るとは。
どう言うつもりだ!
「…済まない。
今だけ、この部屋を出るまでは、教師だと言うことを忘れさせてくれ。」
「はい…」
温もりや感触を覚えておくようにぎゅっと、抱き締めた。
俺は、酷い男だ。
執務室を出ると、
外はすっかり暗い。
名残惜しいが、そろそろ帰さねば、理事長が煩いだろう。
サリバン邸まで送っていくことにした。
道すがら、遠慮がちに聞かれる。
「…先生、前みたいに、解らないことを聞きに行ったりするのは、大丈夫ですか?」
「ああ。生徒としての範疇ならば、許可する。」
「ありがとうございます!」
全てを聞いたわけではないが、交流できないことを随分と寂しがっていたようだ。
喜んでいるらしい。
かわいいやつめ。