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異次元の出会い(魔入間)

第59章 スキ魔⑮



カルエゴside

個人強化のプラン初日。

ノープランだったわけではないが、
特訓の開始時期を伝え忘れていたのは事実。

言われて、気がついたとは、恥ずかしいばかりだ。

あやつの才能は、
問題児クラスの誰よりも高く、伸び代があると踏んではいた。
ただ、その能力は、多岐に渡る。
どう伸ばせばバランスが言いか図りかねていた。

飲み込みの速さ。
1年で有ながら、操れる呪文、魔術の多さは、
学年ぴか一。
魔力量も申し分ないと思っていたが、
まさか、気がつけていなかったのだ。
ギリギリの魔力量で、あやつが、今まで過ごしていたことに。

特訓初日に倒れてしまった美雪。
精密検査の結果、魔力の限界を迎えていることが判明。

それが、どう言うことか?
これ以上は伸ばせる方向性がないことを示唆していた。

幸い、ランクは「4」。
基本的な呪文は使いこなせている。
ならば、あやつをこれ以上、酷な環境に置かずとも良いのではないかと思考を止める。

だから、俺は、

「今学年での美雪の特訓及び実力強化のプランを無期限凍結する。」

そう、保護者に伝えた。

俺としても、苦渋の選択だった。
オペラ先輩は、無言だったし、理事長もなにも言わず、

「…そうかい。それが、カルエゴくんの判断なんだね?」
「はい。」
「わかったよ。」

珍しく、静かに此方の意見を飲み込んだ。
その姿には違和感しかなかったが、
理事長とやりあわなくて良かったと思っていた。
全てが後々面倒になるからだ。

その後、本人に会って、凍結を伝えた。
理由は言わなかった。

曖昧に成りそうだった距離感を計り直す良い機会だとも思った。
だから、素っ気なくした。
それは、本来の自分の通りだと思う。

それからは、教師と生徒の立場を徹底した。
用がなければ近づかない。
話しかけない。
視界にいれない。

この機会に自分の気持ちにも真摯に向き合う事にすれば良いだろうとも思っていたが、それは、中々、出来ないでいた。

全てを先送りにしていた。

だから、判断を見誤った。
強硬手段に出てくるとは思わなかった。

考えの甘さ、美雪と言う人物を侮っていた代償。

俺は、お前を護ってやりたいと思っただけなのに。


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