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異次元の出会い(魔入間)

第58章 講師陣のプラン



さて。

ただいま、私はカルエゴ先生の執務室にいます。

目の前には高く積まれた本の山。
見たことのない背表紙。

「ど、読書から始まりですか?」
「そうだ。まず、知識を深めることから始める。
ノルマは1日、3冊。
お前の体調面などを考慮して、徐々に内容を詰めていく。」

制限時間も設けられ、1日、二時間から五時間ほどを目安に、進行状況によっては延びたり、短くなったりするようだ。
気合いを入れて、やりましょう。

「………先生、ダメです。」
「………まだ、一冊目だろう?」
「すい、ません。今日は、本当に、もう無理。」

辛うじて体調不良を申告して、意識を手放した私。

修行1日目から、ブラックアウトの戦線離脱。
何故ですか!?
読んでいたのは、呪いの本だったろうか?

先生には悪いことをしたような気がする。


目が覚めると、見えたのは部屋の天井だった。

「あ~やっちゃった。」

深い後悔。
そのあとに来る、

「……美雪様。」
「……はい。」

まあ、こうなるわな?
オペラさんのガチ説教ですよ。
だって~と反論したいのをグッとこらえます。
どうしろと言うんだ。
何て、弱い身体なんだ。

長い長い説教が終わり、漸く事情聴取。
……順序逆だよ。

「……それは、おかしな話ですね。」
「はい。まるで、読んでいた本に魔力か生命力を取られたような、」
「その可能性はあるかもしれません。
美雪様は人間。
いくら、呪文に魔力がこめられているとはいえ、悪魔と体質が違うが為に、呪文にこめられた魔力が呼び水になって、知らないうちに魔力を吸われたようですね。」

ふと、考える仕草をして、

「カルエゴくんにはそれとなくカリキュラムの改善を提案しておきましょう。」
「……はい。よろしくお願いします。」
「……後で、カルエゴくんに連絡してあげてください。彼も、中々に気落ちしてましたからね。」

まさか、と思ったのですよ。
その言葉を聞いて。
あの、カルエゴ先生が、落ち込むとか。
ナイナイナイナイ。
……いや、根は陰険かもしれないが、真面目な先生でもある。
見かけではわからない繊細さが有るし、
ショックを与えたのは、間違いないはず。
ならば、私は、たとえ、体質のせいであっても、謝らなくてはいけない。



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