第56章 過ぎ去りしは、
次に、駄菓子屋さんに行った。
はぁ~ん。
何て、素晴らしい場所。
もう、お菓子の宝石箱や~
って、寒いギャグも飛び出すぐらい、テンションアゲアゲで。
あれも、これも、それも。
勉強のお供に。どうしてもお腹が空いた時用に。苦い薬の口直しに。
舐めてく内に七つの味に変化するマジックキャンディー。
雲のような軽さの口当たりの綿菓子。
口にいれたら、ホロリと溶ける魔カロン。
何時までも味がなくならないチュウインガム。
食べてからのお楽しみ!バラエティーチョコボンボン。
あげたらきりがないぐらいに種類は豊富。
人間界のお菓子に近しいものもたくさんあるけど、やっぱり、魔界の方のお菓子は破格。
入間とあっちこっちで、
ほえ!とか、あわわわわ!とか、ほあ~!とか。
ため息ばかりついて、見て回る。
あれを買おうか、それを買おうか、此方にするか?あっちにするか?と相談して買い漁った。
あっという間に、夕方で。
何て、楽しかったことか。
とっても、たくさん買って、山のような荷物。
オペラさんが馬車に運ぶと言うので、手伝いつつ、ついてきた。
「今日は、楽しかったです。」
「それは、何よりです。」
「たまには、こうして買い物に来るのも良いかなと思います。」
「……では、今度は私と一緒に出掛けますか?」
「………変なことしませんか?」
「……しませんよ。」
「何ですか、今の間は?」
「お気になさらず。」
「…オペラさんは、カルエゴ先生との事は、その、」
「私は、美雪様のこと、妹の様な存在だと思っています。…私としては、カルエゴくんの事も、後輩であり、弟の様な存在だと認識しています。
だから、2人がくっつくのは、願ったり叶ったりだと申しておきます。まあ、少々、複雑な気はしますが。」
「……そう、何ですね。よかった。」
「良かった?」
「もし、オペラさんがカルエゴ先生を、恋愛の対象として好きなら、邪魔しちゃ悪いかな、って、思ったから。」
「ふふふ。そんな訳ありません。カルエゴくんは、手のかかる弟です。むしろ、美雪様をとられるのが複雑です。……兄としては。」
「!そっか。なら、もっと、甘えられるように、頑張ります。」
祖父と兄に弟と過ごした1日は、素晴らしい日だった。