第56章 過ぎ去りしは、
益々気が良くなったおじいちゃんは、私に追加で本を買ってくれると言う。
「美雪ちゃんには、少し上の学年の魔術書でも買ってあげようか。これなんかどう?」
「……あー、これは、すでにバラム先生に習った範囲です。」
薦められたのは、大半を読み込んだ魔術書。
「えっ!?嘘!!本当に?じゃあ、これは?」
「それも。」
「じゃあ、これ、」
「それも、因みにあっちも、そっちも。」
「………末恐ろしいね君は。」
「ははは。」
「じゃあ、とっておきのこれ。」
「あーあ…」
「えっ、これも駄目なの!?」
「はい…、カルエゴ先生が大変お薦めだと買ってくれたの。」
「はぁ~。どうも、バラムくんもカルエゴくんも美雪ちゃんにとても期待してるみたいだね。」
「そ、うなんですかね?」
「そうだよ。じゃあ、とっておきのとっておき。これなら大丈夫でしょ。」
そう言って渡された本は見たこと無いもので。
「うん。ありがとう、おじいちゃん。」
とても満足そうにしてくれた。
それから、本屋を出て、色々回った。
魔界のペットショップにいって、
「さあ、美雪様。」
「で、でも、乗って大丈夫何ですか?」
「この種は、余程の事がないと暴れませんから大丈夫ですよ。」
「…そうなんですか。」
オペラさんに半ば強引に誘われて、一緒に大きな鳥のような、獣の背に座ったり、
文具屋さんで、不思議な文房具を眺め。
「あっ、これ、美雪さん使ってたよね?」
「そうそう。これ、初めて見たとき、一目惚れしちゃって。」
なんの変哲もない付箋なんだけど、専用のペンで書くと書き込んだ内容で文字の色が変わると言う不思議な代物。
「例えば、"至急"て書けば、」
「あっ、黒色のインクが赤色に変わった。」
「そう。ペンが何本も要らないって言うやつ。
まあ、専用ペンは買わなきゃなんだけど。」
「へ~凄いね。…でも、これ、何処か他でも見たような気がする。」
「まあ、知るひとぞ知る代物だからね。持ってる人は結構いるんじゃないの?」
「う~ん。あっ、そっか、カルエゴ先生が持ってた。」
ドキッとした。
本当に今日はカルエゴ先生の名前がよくでる。
「そうなんだ。気がつかなかった。」
「僕も買おうかな!」
「いいんじゃない?」
さりげなく、その話題からフェードアウトする。