第54章 避難の後半
文房具系も買い足す。
手帳に、ノートに、付箋に、ペンに。
きりがない。
次によったのは、下着屋さん。
洋服屋さんには売ってなかったので、急遽予定にいれて貰った。
先生は、外で待つと言った。
まあ、男の人が下着屋に入るのは、物凄い抵抗があるよね。
私も、気まずいから、嫌だけど。
手短に済ませようと心に決めて、店内に入る。
サイズの単位が人間界と同じか微妙だったので、幾つか見繕って、試着室に入った。
「うん。これで良さそう。」
ブラのカップは丁度よさそう。
基本、人間界とあまり変わらなかった。
本当に不思議。
サイズも大丈夫だし、買うための候補も決まったから、後は、会計を済ますだけ。
「あっ、」
上着を着終わったタイミングで、下着の中にドロッとした感触。
直後、膝から力が抜けて、経たりこんだ。
貧血だ。
出血量が多い。
ナプキンの吸収速度が追い付かなかったのか、太ももに月経血が垂れてきて、試着室の床に落ちた。
どうしようどうしよう。
プチパニックになった。
…先生。
生理の事で男である先生に助けを求めるのも、恥ずかしいが、まごまごしていてもしょうがないし、ここで、人間バレして、身の危険を招くようなことはしたくない。
ポシェットからビニール袋と替えのナプキン、タオルハンカチ、ティッシュを取り出す。
特別製のタオルハンカチで、太ももを伝う月経血を拭う。
それから、ナプキンを替えて、床に垂れた汚れを拭いて、それらを全部、ビニール袋に摘めた。
口をきつく縛り、ポシェットの中にしまう。
清潔呪文を汚れが落ちた床にかけて、痕跡を消す。
生理の状態で呪文を使ったから、目がチカチカしてきた。
まだ、倒れるわけにはいかない。
ス魔ホで、外にいる先生に連絡をとる。
ス魔ホを持つ手が震える。
「……どうした。」
「…先生、ごめんなさい。具合が悪くて……」
ショップの更衣室に居ることを伝えたら、血相を替えてやって来たカルエゴ先生。
「だから、言っただろうが。」
「すみません。あの、会計済ませたいのですが。」
選んだ下着類を持って、レジで会計を済ませると、速やかに店を後にした。