第52章 一人の一日。
どんな内容で買い出しをしたのか把握してないため、女子で有ることも含め、足りないものも有るかと思ったが。
「…着替え、ですかね?」
「着替え?」
「スーパーにしか寄ってないので、着替えがなくて。」
「……明日は、まだ学校がある。…明後日なら買い物に付き合ってやってもいい。」
「本当に?ありがとうございます。……あの、明日は、学校に着いていって、良いですか?」
「何故だ?」
「あ、あの、バラム先生に会いたいのですが、」
「薬か?」
「…はい。」
「…………善かろう。連れてってやる。シチロウは終末日でも関係なく学校に来ている。」
「良かった。」
着替えか。
俺のを貸してもいいが、暫く居るのなら自分の物がいいだろう。
少し、話をしたら
元気を取り戻したようだ。
萎縮してるとは違うな。
何となくの違和感に関しては、様子見とするしかないな。
夕食を済ませると、
先に風呂へ行かせる。
何故か躊躇されたが、覗きなど低俗なことはせん!
「心配なら、一緒に入ってやろうか?」
「!?ご、ご遠慮します!!!!」
大人しく、風呂場へ行った。
食器の片付けをして、一息つくと、
はぁ、先程のバカな発言を思い出した。
何を俺は言った?
『俺の服を貸してやってもいい』
『一緒に入ってやろうか?』
これは、間違いなくセクハラ発言だろう?
下心が有るのなら、間違いない。
いやいやいやいや、
下心は無い!……はずだ。
……俺はそんなに堪え性がないのか?
そんなはずはない。
忍耐なら、不本意だが、アホ理事長で鍛えられている。
たった一人の女子生徒に振り回されるなど。
有っては成らん。
それに、追々と一旦は決断したろ?
自分の言葉に責任を持て、ナベリウス・カルエゴ!
はぁ、
「何を考えてるのだ、俺は。」
「せ、先生。上がりましたから、お次、どうぞ。」
ソファーで項垂れていた俺に、風呂から上がった美雪が声をかけてきたのだが、その姿を見て、決心が揺らぎそうだ。
「ああ、解った。」
声音は変じゃなかったか?
悟られてはいけない。
素っ気なく返事をして、部屋に着替えを取りに行って、風呂場へ。
シャワーを浴びながら、風呂上がりの姿を洗い流そうと躍起になっていたカルエゴが居ることを美雪は知らない。
頑張れ、カルエゴ先生!