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異次元の出会い(魔入間)

第52章 一人の一日。



何時もなら、独り暮らしの自宅には明かりはない。
暗い自宅に帰るのは慣れたが、
今日は、明かりが着いている。
新鮮な気持ちになる。
ほっとすると言うのか、安心する。
不思議だな。
理由を知らなければ、警戒案件だが。

「ただいま。」

自然と口から出た台詞に、少し、自分でも驚いた。

「ぐっ、」

数秒もせず、腹に来る衝撃。
予期しておらず、もろに食らった。

「…な、何の真似だ。」
「…おかえりなさい。」

腹に突撃してきた女は、グリグリと痛む所に顔を埋めている。
何がしたいのか。

「おい、」
「先にお風呂にします?
それとも、ご飯ですか?」
「……飯でいい。」
「はい!直ぐ用意します。」

会話の内容に、恥ずかしくなった。

台所に消えた美雪を確認し、自室に一旦引っ込む。
荷物を置き、着替えを済ませ、リビングへと移動する。

少し、美雪の様子がおかしいように感じるが。
観察しながら、パタパタと世話しなく動くのを眺めている。

「用意出来ました。」
「……そうか。」

お互い、向かい合って座る。
汁物以外は昨日とは違う内容になっていた。

「…材料はどうした?」
「昨日買ったものの中にあったものです。」
「…そうか。」

正直、買い出しの中身はあまり知らない。
だから、いつの間にか知らない品物が増えていても、気にしていなかった。
第一、所詮、理事長の支払いだからな。
美雪は、理事長から生活用品を買うために、魔法のカードを持たされているらしい。
ブラックカードを出したときに、ヒヤッとした。

「…なんつっう物を、」
「あ、やっぱり、出すのは不味かったですか?」
「いや、…帰りは気を付けよう。」
「?」

比較的、治安が悪いわけではないが、金持ちだと解ると危なくなったりするのは世の常。

まあ、そんな心配はなかったが。
教育の余地はあるなとは思ったが。

「…何かここに来て足りないと思ったもは有るか?」
「?」
「足りないものが有るのなら買い出しに行かねばなるまい?」
「そうですね…」


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