第47章 ウォルターパーク
あわてふためくリード君達に声をかける。
「思ったのだが、私は、まだ、楽しんでいない。」
「はぁ?」
カルエゴ先生、ジャズ君達に良い機会だから、魔獣を4人で倒してこい何て。
あ~あ。
放り出されちゃった。
ジャズ君達は魔獣の方へ放置されて、先生はその場から少し離れる。
「カルエゴ先生、意地悪ですね。」
「なにがだ?」
指をぱちんとならして、テーブルに椅子を2脚出して、1つに腰かけた。
もうひとつは私の分らしい。
ありがたく座らせてもらう。
「だって、男子達はまだ、攻撃呪文習ってないですよ?」
「知っている。授業の一環でもある。」
「でも、って他に何かあるんですか?」
「……罰でもある。
お前を無視した罰だ。」
「カルエゴ先生、優しいね。」
「何をバカな……」
「先生!せんせーい!!助けて!!」
「ムリ!勝てない!!」
リード君達が助けを求めてきた。
「フー…まったく。なぜそうもすぐ私に頼るのだ。」
「教師!」
「引率!!」
「担任!」
「監督!」
「せっかくの授業だぞ。まあ、強いて言うなら習ったことを全て活かし、己の壁を越えろ……そうすればお前らでも勝機はある。
さっさといけ。
逃げたら許さんぞ。」
「先生……」
「そんな……抽象的な……」
「美雪は、何で加わってないんですか!」
「美雪は、お前達よりは立ち回るだろう。
だが、今はお前達の勉強だ。出来る奴を入れても、お前らの勉強にならん。
……私は、依怙贔屓はしない。厳粛に、公平に。」
殺気の隠る視線で睨まれて、ジャズ君達は諦めた。
「…そうだ頼れる大人なんていないんだ…」
「自分の身は自分で守らないと……あぁ」
「汚い!!大人は汚い!!」
「子供を守る大人など!!幻にすぎないのだ!!!」
腹をくくったのか、自棄になったのか、ジャズ君達は再度、戻っていった。
私の実力がジャズ君達よりは上だと認められて、嬉しい反面、ジャズ君達に申し訳ない思いもあった。
「やっぱり、私も加わった方が、」
「あいつらも自分で何かを成さなければいけないのだ。何時までも、他力本願ではこの先の学校生活や社会に出たときにやっていけなくなる。」
カルエゴ先生、優しいな。
たまに、怖いけど。
ちゃんと生徒の事を考えてくれてる。