• テキストサイズ

鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第11章 *抗えない(運命)2時透無一郎



そんな僕らを置いて無情にも月日は流れる。

もう彼女は歩くことさえ出来ないでいた。

体力が底を尽きたのだ。

それでも笑顔を絶やさない彼女を
見ると胸が切なく傷んだ。


葉っぱのクッションを布団代わりに寝る。
体はもうボロボロで、はだの色が灰色になっていた。


「…」


『…無一郎さん、貴方は鬼狩りよ…馬鹿な真似だけはやめてくださいね』

日に日に弱くなっていく彼女に僕の精神は揺らいだ。
そんな僕を見透かす彼女は今じゃ口癖のように呟く。


きっと、新鮮な肉を与えれば
あっという間に回復するだろう。
僕の身を差し出そうとするも彼女は頑なに拒んでいた。



そんな彼女のそばに、ずっといられる筈もなくて
毎日のようにある任務。
今日も言われた村に足を進めれば、がいる洞穴と結構近いところにあると気がついた。


鬼を村から遠ざけるため、山の中にはいる。
挑発したのだから、僕を追いかけるだろうと走りながら邪魔する木々を避ける。


声を荒げながら僕に鋭い爪で攻撃してくる鬼。
それを、なんなくヒョイヒョイと躱し日輪刀を鬼に向けた。

「鬼ごっこはこれでおしまいだよ」

「小童が…それはこっちの台詞だ」
鬼はニヤリと大きな口もとを上にあげれば血鬼術を使い僕の動きを封じ込めた。

「……すごいや…動けないね」

「お前を食えばまた更に強くなる」

少しずつ近づいてくる鬼。
けれど、刀を握り直しなんとか反撃しようとチャンスを伺う。

するとふわりと漂ったのは彼女の香り。
そして動けるようになった自分の体。

「っ…霞の呼吸…肆ノ型移流斬り」

鬼を倒し、後ろを振り向けば

白砂のように風に乗って消え始める彼女。


「なんでっ…」

『無一郎さんっ…お役にたてて良かったです…』

「馬鹿じゃないの?!…あんなヤツ、の助けがなくっても」

最後の力を振り絞り、僕のピンチに駆けつけたの体は
右半身がほろほろと既に消え失せていた。
/ 382ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp