第11章 *抗えない(運命)2時透無一郎
炭治郎の妹も鬼だ。
でもあの鬼は一度も人肉を喰らったことがない。
そして、空腹は寝てそれを力に変換させ今を生きている。
鬼だけれども一度も人を喰らったことがないという点はかなり大きいのだろう。だから何年間食事をとらなくても寝るだけで生を繋ぐことができる。
なら彼女は?
屍であろうと人肉を食した。
生きた人間を食べたことはなくても人肉を食した時点で彼女は人から離れた鬼だ。
いくら心を持っているからとして
一度知ってしまった味は体が覚えているはず。
その栄養を貰えないとするならば
後は少しずつ朽ちていくのみだ。
涙がボロボロと溢れだす。
辛いのは彼女。
泣きたいのも彼女のはずなのに。
幼子のように泣きわめく僕を
優しく包み込む温もりに涙は枯れることをしらない。