第11章 *抗えない(運命)2時透無一郎
やはり気のせいではないのだろう。
彼女が日に日にやつれている。
抱いた日からもう1週間の時は経った。
毎日のようにお互いを求めて
何度も何度も彼女の中で精を放った。
日に日に彼女の体は痩せ細って
いくのを僕は気づいてあげられなかったんだ。
「…」
『無一郎さん…もう気づいていますよね…』
痩せてる理由なんて1つしかない。
鬼は病気にならない。
「……うん……いつから?」
『…無一郎さんと初めてお会いした日から』
困ったように笑う彼女に奥歯をギリット噛み締めた。
ちゃんと言葉にできないのは
僕が鬼狩りだから。
鬼から人を守る僕が人間食べてないのと彼女に聞けるはずがない
そんな、僕の心境を察してか
死にはしないから大丈夫と笑う
わかっているその場しのぎの言い訳だってこと。
現に君はもう力が出ないのかフラフラじゃないか。
『…無一郎さん、そんな悲しい顔をしないで?私は最初から人を傷つけてまで生きたいとは思ってませんでしたから
』
「っ…」
それでも屍を喰らいなんとか命を繋げていたはずだ。
鬼が好きなのは生きた人間の新鮮な肉。
それを腐った肉を我慢して喰い
今まで生きていた。
僕の為を思って、人肉を食さないと決めた彼女の決心は揺らぐことはなかった。