第10章 抗えない(運命)1時透無一郎
食べ終わり、満腹を得た僕は
また、横になり安静にする。
彼女は片付けた後、今度はタオルと桶を持ってきて僕の前に近づいてきた。
『さぁ、無一郎さん…脱いでください!』
「はぁ?!」
『体を拭かないと、汚くなりますよ??』
ほら、早く早くと急かす彼女に抵抗しようにも体が言うことを聞かない。
そのまま、脱がされる隊服。
ひんやりとした空気が肌に伝わりぶるりと身が震えた。
『失礼しますねー!』
どこか上機嫌な彼女は背中からタオルで優しく拭いた。
お湯で温めてくれたのだろう。
人肌の温もりがとても心地よかった。
背中が終わり次に腕。
首から下がっていくタオル。
「ちょっ…後は自分でやるからっ!
」
『でも…動けないんですよね』
いいからと、彼女を押し黙らせ
彼女に見るなと伝えた。
流石に下半身は自分で綺麗にしたい…。
そんな日が続き、彼女の介抱もあってか3日経てば動けるようになるまで回復した。
『凄いですね!3日で動けるようになるなんて!』
「…ありがとう…お陰で助かったよ」
お礼を告げ、洞穴から出る。
外に出れば3日ぶりの太陽の光が。
眩しさに思わず目が眩みそうだ。
彼女は太陽の光を浴びれないから
洞穴から大きな声を出した。
『お元気で!鬼狩りさん、長生きしてくださいね!!』
「そっちもね…せいぜい、他の鬼狩りに見つからないように」
それじゃあと手を振り別れを告げると足早に森を抜け出した。