第9章 *極悪非道 時透無一郎
『…どういうこと…?』
「僕にとっては炭治郎が邪魔な存在になりつつあるってこと
…は頭がいいからすぐに理解すると思うけど、僕の言ってる意味がわかるよね?」
本当に無一郎なのだろうか??
いくら、記憶を失ったとしても
まるで別人のようだった。
私を脅迫している。
今すぐ竈門君と距離を置かなければ、彼の身が危ない。
本当に危ないのは私自身ではなく
竈門君だったのだ。
『…友達なのに危害を加えようとしてるなんて、貴方頭がおかしいんじゃない?!』
冷静にと自分に言い聞かせて
感情をコントロールしていたけれど、さすがにもう限界で。
声を荒らげる私とは対処的に無一郎はどこか清々しい表情をしていた。
「そうかもね…でも、僕は本気だよ?」
開かれた瞳は鋭利な刃のように
鋭く尖っていて、彼が本気なのだろうと悟る。
竈門君は人の気持ちを察するのが得意みたいなので、
無一郎に脅されてるなんて事を知られていけない。
きっと、感づかれたら無一郎が竈門君に何かするのだろうと
本能が警告の鐘を鳴らす。
『…わかったわ…竈門君と別れればいいんでしょ…』
「うん、呑み込みが早くて助かったよ」
いい子いい子と同じ言葉を何度も繰り返しながら頭を撫でる無一郎にもう別れるから枷を外してと再度お願いすると首を傾げこちらを見下ろした。
「なんで?…だって、もうここから出ることないでしょ?」
『…え?だって、竈門君に話さなきゃいけないし…それより学校も行かなければ不審に思われるよ??』
「そんな、必要ないでしょ…炭治郎は手紙を書いてそれを僕が渡せばいいし
転校するから何らおかしな点ないよね??」
どういうことだろうか??
無一郎には転校するなんて一言もいってない。
まして他の友達にも伝えてないから
この事を知るのは私と父親と一部の教師のみ。
『なんで、知ってるの…?
まだ、先生はまだ誰にも言ってないし、手続きだって終わってからまだそんなに経ってないはず…』