第9章 *極悪非道 時透無一郎
それにもう1つ大きな問題が。
『…私は彼女が何人もいる人とは付き合えない』
「…彼女?僕そんなにいるわけ?」
呆れてものも言えない。
自覚してないとはいえ、彼女達が本当に気の毒だ。
『…告白されてOK出したんでしょ?』
「ああ…それは買い物とか用事に付き合ってじゃない?」
平然とそう言ってのける無一郎に
救いはないのだろう。
『…女の子を大切にしないなんて無一郎本当に変わったね…その言葉で本当に決心ついたよ…私は竈門君がいるので無理です』
「……」
私の中ではもう話が終わり屋上を後にしようと背を向ける。
すると強い衝撃が首元を襲い、意識がプツリとそこで途絶えた。
私を撫でる手がとても優しくて。
擽ったさに身動いだ。
意識が浮上する。目を開けば無一郎が優しい眼差しをこちらに向けていた。
『…無一郎っ…つ?!』
痛みで顔が歪む。
首がじんじんと痛んだ。
咄嗟に伸ばした手をジャラりとした冷たい音が邪魔をした。
「ごめんね…まだ首が痛むと思うよ」
謝罪の言葉とは裏腹に表情はとても満足していて。
視界がまだぼんやりとする。
手首に纏わりつくひんやりとした温度に脳が覚醒する。
私は無一郎に膝枕をされてて
手首は両手共に黒い枷がはめられてて、枷から伸びる銀色の鎖は無一郎の手に握られていた。