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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第42章 *逃れることは出来ない 時透無一郎 ☆




<ヒョヒョヒョ…飲んだ飲んだ!!さて…お前はαかのう?!>

『…残念…俺はβ…何が目的でこんな事をしてるんだ!』


<?…目的か?強いていうなら…αは美味なのじゃ…βはまあまあ…Ωは不味いんじゃな…>


『…今までここ一帯で行方不明になった人達はお前が食べたのか?』

<ここの村はαが多くてのう…どれも美味かったわい…ときにそなた…βではなくΩみたいじゃのう…今回は外れ…あーもうこの村にはαがいないのか…>


鬼は言動とは裏腹ににやにやと不気味な笑いを私に向けた。
ここの鬼は第2の性を食す変質的な鬼のようだ。
鬼が言うには、ここ数日で10人以上の村人を殺したと言う。
お婆さんの姿で近づいて私と同じように飴玉を食べさせて、αとβは食しΩは無惨に殺したと言う。
ゲラゲラと笑う鬼は愉快そうに笑いながら私へと一歩一歩距離を詰める。

飴玉には他にも痺れ薬が含まれてたのか、体が思うように動かせないでいた。
これまでかと、目を瞑った時
澄んだ霞の気配と、優しい匂いが香った。


「何遊んでるわけ?とっとと鬼を倒さなきゃ駄目だよ…」

<αじゃ!α!!飴玉舐めさせんともわかる!!儂はついてるでな!!>


「…うるさい…霞の呼吸壱ノ型…垂天遠霞」

俊足なその剣技は、目で追うことが出来ず気がついた時は首を切られ、さらさらと砂のように消えてなくなっていった。

『…無一郎さんっ…ありがとうございます』

「ほんとに…ねぇ?助けたんだから俺に礼を寄越しなよ」

『…あ、はい…俺で出来ることなら…』


無一郎さんは滑るような動作で私に近づいて、刀で私の隊服と胸を隠す為に巻いたサラシを切り捨てた。
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