第42章 *逃れることは出来ない 時透無一郎 ☆
目的地につく頃には、すっかり夜が更けていた。
人里離れた暗い山道に、休息所がある。
そこで何人もの人が行方不明になってると通達された。
ほんとのところ子規模の被害に柱は入らない。
けれど、彼は柱に成り立ててでもあるから様子見で今回私と合同任務になったのだろう。
無一郎さんは鬼がいないか私を置いて一人で周辺を探していく。
慌てて追いかけて、無一郎さんから側を離れずかつ無一郎さんとは別の方向へと気配を辿る。
不気味な気配はするものの、鬼は一向に現れなかった。
『無一郎さん…もう日付け変わっちゃいましたね…今回の騒動で夜遅くに村人がここを歩くのも少なくなったとか言ってましたし…別の場所を探してみませんか?』
「……そうだね…ここにはいないみたい…僕がこの山全体を探すから、君は休息所にいて、弱い君でもそれぐらい出来るでしょ?」
『なっ!なにを!!あのね、無一郎さん前々から言おうと思ったんだけどね!…あれ?!無一郎さん?!…もう!!人の話聞けー!』
無一郎さんに文句の1つや2つを言ってやろうと口を開く時には既に無一郎さんはその場にいなくて、はぁーっと深いため息を吐き出し代わりに新しい酸素を肺一杯に吸い込んだ。