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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第41章 *花の香りのする方へ竈門炭治郎 ☆


『…?炭治郎?どうしたの?…さっきから鼻がぴくぴく動いてるけど…』


「ん?あぁ…花粉症かな…鼻がムズ痒くて…」

困ったように眉根を下げて困惑な表情を見せるに笑って誤魔化した。
すると、安堵の息を吐いても俺の笑みにつられて笑う。

本人も気づいてるはずだ。いや、気づいてる。まもなくヒートがくることを。
鼻を動かせば、焦る感情や不安な気持ちに混じり砂糖を煮詰めたように甘い芳醇な香りが俺の鼻を擽る。
まだヒート前の小さな香りは俺にしか気づかない。
小さな優越に浸る感情はきっと、俺の求めてる運命の相手だからなのだろう。



「そういえば…、昨日冨岡さんと一緒の任務だったんだって?怪我とか大丈夫だったのか?」

『うん!冨岡さん強くて…正直、私何一つ役に立たなかったんだよね…もっと頑張らないとって思ったよ』

「よしよし…はいい子だなぁ」

『っ…ちょっと!子供扱いしないでよ!』

つい、可愛くての頭を撫でると頬を膨らませたが恥ずかしそうに俺を見上げる。
そんなの表情が好きで更に頭を撫でて上げながら、俺の心はもっと濃く澱む一方だった。


「(冨岡さんもαなんだよな…やっぱり他の人に取られるくらいならもう自分のものにした方がいいのか…)」


の周りは驚くほどαが多い。
まるで、彼女自身が花だとすると
αはそれに群れがる蝶のよう。
大切な蜜を取られる前に、俺の手で汚してしまいたい。
最近そんなことばかり考えるようになっていた。
大切にしたいという反面、俺の事だけを考えてほしいと。


「(いや、駄目だ!!大切なを傷つけるなんて…俺は長男なんだからまだ我慢できる!頑張れ炭治郎!!)」


己を律し、躊躇う自分の手をの頭から離して
こんな事を考えてる自分に気づかれたくなくて、話題を変えて誤魔化した。
もそんな俺に気づくことなく、相槌をうって楽しそうに笑った。



俺が我慢すればいい。全てがうまくいく。そう本気で思っていた。
今の関係を壊したくないから。
けれど、俺の考えは浅はかで所詮はただの戯れ言なんだと気づいた。
いや、気づかされたのだ。
あの光景を目にするまでは…。


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