第39章 前世のツケ 時透無一郎
「もそろそろ僕と…『……ってよ』…え?『いい加減、ほっといてよ!!』
驚く無一郎をそのままに踵を返して、家へと走る。
走った…走ろうとしたのに。
腕を物凄い強さで掴まれ
ただ、それだけの事なのに
前に踏み出す事さえ出来なかった。
「…自分の立場を弁えて行動しなよ?赤ン坊じゃないんだから」
『…へ?』
「…過去の事も忘れて、のうのうと生きるお前に新しい環境が用意される事なんてないよ?
」
突然、辛辣な言葉を吐き捨てるように言う彼。
その言葉はどこか懐かしさも孕んでいて、フラッシュバックするように記憶が遡る。
「…思い出した…?過去の清算きっちり落し前つけて貰うからね」
『…あ、あの?』
「その顔は思い出したようだね、が僕に散々ストーカー行為して、何も知らなかった僕をこんな感情にして…今まで忘れてた分、きっちり返してあげるから…もう逃げれると思わないでよね」
天使の皮を被った悪魔とはまさにこの事を言うんだと思う。