第39章 前世のツケ 時透無一郎
私は無一郎の事を、ただの幼馴染で友達としか思っていない。
兄の有一郎の事もそうだ。
なのに、この時透兄弟は私への執着が強く、ずば抜け弟の執着は兄を凌ぐほどの勢いだ。
「は僕達の気持ち知ってて、誑かすの酷いと思う」
『何度も言ってるように、私の気持ちは変わらないから、他をあたって。』
無一郎は私の隣に並ぶと、歩幅を合わせて歩いた。
家も近所と言うこともあり、帰りはいつも一緒。
というより、避けて帰ったとしても気づかれる。
半強制的に、無一郎と有一郎と一緒に帰るのが最早日課とまでになっていた。
『有一郎は?』
「あれ?気になる?なんか、嫉妬しちゃうな~兄さんは、委員会の仕事、遅くなるみたいだよ」
なるほど、だから他に視線は感じないのか。
無一郎が依存だとするなら、有一郎は束縛タイプでだからこの歳になっても彼氏はいなかった。
他の男子と話してるだけで、無一郎が会話に入って有一郎が男子を連れ出す。
そんな事が続けば、次第に男子から話しかけられる事がなくなった。
女子からは、人気の時透兄弟に懐かれてる理由で遠ざけられていた。
孤立したのも、彼氏が出来ないのも全てこいつらのせいなのに、
当本人はニコニコ笑いながら、僕しかいないだの、俺じゃなきゃ駄目だの言って最終的にはやれ付き合えという言葉。
もういい加減うんざりしていた。