第39章 前世のツケ 時透無一郎
確かに、まだ鬼が生きていた頃。
とても可愛い無一郎をひっそりと監視と言うなのストーカーをしていた。
といっても、彼は柱だったから
ずっと見ていた訳ではないけど。
そして、彼の筆下ろししたのも自分だ。
何も知らない記憶を取り戻した彼と夜を幾度か共にしたけれど、
あれはあくまで合意であって
無理矢理ではないというか…
彼が柱なのだから、ただの平隊士の私に襲われることはまずない。
彼は過去の清算だとか言うけれど
言いがかりだし、過去といっても前世なのだから現世にそんな罪を持ってこないでほしい。
『…無一郎?それとこれとは話が「違わないよ。最初からに拒否権なんてなくて、僕の傍にいるしかないのだから…これからもよろしくね?」
不気味に笑う彼に、今はこの時だけは有一郎がいてくれたらと思うしかなかった。
有一郎はここまで狂気に満ちていないから幾度か空気はましになるだろう。
けれども。掴まれ腕は離さないとでも言うように、ギリギリと掴んでは赤く手形の後を私の腕に作った。
まるで、手枷のように。くっきりハッキリと。
逃がさないとでも言うように。