第36章 願掛けて願いよ届け時透無一郎☆
「顔、真っ赤」
『っ~…む、無一郎君だって顔真っ赤じゃん!!』
一瞬の温もりは幻じゃなくて、確かに私は無一郎君とキスをした。
一瞬の出来事なのに、唇は覚えた柔らかいあの感触。そして無一郎君の照れた顔。
その後も無一郎君と時間の許す限り綺麗なイルミネーションを眺めていた。
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二日目の朝、いつものようにだらだらと着替えて、朝食をとり外に出るとまた班毎にわかれて先生の話を聞く。
横を見れば、無一郎君も眠たそうにうとうとしていてなんだか可愛くてクスリと笑えば、無一郎君はにこりと笑ったかと思えば私の頬を思いっきりつねった。
『っ~!!』
他の人がいる手前、大きな声が出せない私に無一郎君は満足そうにぱっと手を離す。
じんじんする右頬を押え、一睨みすれば無一郎君はごめんと口パクで私に伝えた。
『もうちょっと手加減してよ
本当に痛かったんだから!』
「ごめんごめん…あ、ほらもう少し早く歩かないと置いてかれるよ」
誤魔化す無一郎君に言われ前を向けば確かに私達の班は他の班との間に距離が生まれていた。
気づけば同じ班のゆか達もいなくて、追い付くように駆け足で向かえばぎゅっと掴まれた右手。
右手から無一郎君へと視線を移せばにこっと笑って早歩きで皆に追い付いた。
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2日目の奈良もとても楽しかった。鹿にせんべいあげて鹿に囲まれせんべいの争奪戦に巻き込まれた私を無一郎君はただ、笑ってるだけで助けてくれなかったり
伝統溢れる街をゆったりと歩きながらお寺やお堂を見て回ったり。
無一郎君はずっと手を握ってくれたままで、恥ずかしかったけどそれ以上にとても嬉しかった。
夕方頃に宿屋に戻り、夕飯を食べた後温泉でゆっくりと過ごせばその後は昨日と同じく無一郎君と夜の散歩。