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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第36章 願掛けて願いよ届け時透無一郎☆





『あっ…どこ行くの?』

「まだ、寝るには時間早いし…ちょっと歩かない?連れていきたいとこあるんだ」

優しく笑う無一郎君に、顔がぽっと熱くなる気がした。
私の歩調に合わせて歩く彼と
歩く度肩がとんと優しくぶつかるのも気恥ずかしくて。けれども心地いい。

フロアを抜け外に出れば、もうすっかり外は真っ暗で、外気の寒さにぶるりと身震いした。
冬が来るのも後少しなのだと、実感する。

「ちょっと寒かったね、もっとこっちに来てよ」

『う、うんっ…』

私の事を気遣ってか、私と無一郎君の数㎝あった距離は0距離に。
密着する肩に、いつもの調子が出ない。
そんな私の反応を面白がってるのか、無一郎君はやたら上機嫌でクスクスと笑っていた。


『わ、笑うなんて酷いー!』

「ごめんね、君が可愛くて…あ、もうすぐ着くよ」


無一郎君に言われ、視線を無一郎君から前方に向ければ綺麗な光がキラキラとその場所を美しく彩っていた。

『綺麗…』

「ここのイルミネーションは今くらいの時間が一番みたいだよ、君に見せたかったんだ」

電飾に飾られた様々な木々やキャラクターが色んな色になってキラキラと輝いていた。
無一郎君の横顔を見れば、無一郎君も私を見ていたようで、ぱっちりと視線が合う。
恥ずかしくなって視線を逸らそうとする私に無一郎君は空いた手で私の頬を優しく触れた。

「……」

徐々に近づく無一郎君の顔は
女の私ですら羨ましい程、端正な顔立にドキドキと胸が高まる。

直視できなくて、目を瞑れば唇に感じた乾いた温もり。
それは一瞬で、目を開けた頃には無一郎君は照れたように笑っていた。
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