第36章 願掛けて願いよ届け時透無一郎☆
『…っ無一郎君っ!!!!あ、あの…好きですっ!!…あ』
「……」
『あ、いや…えっと…す、杉の花粉今日やばかったよね!!』
「……そう?」
なーにやってるの!!!
本当に馬鹿じゃないの?!
なんで、自由行動一緒に回りたいが愛の告白になってるのよ!!
しかも誤魔化すのももうちょっとましな言葉も出なかったの?!
我ながらに苦しい言い訳!!
脳内でスライディング土下座をしながら私の自由行動ぼっち確定と春が終わりを告げたお知らせが頭の中で木霊する。
まだちゃんとした段階を踏めてない。
順序ってものがある。
あんまり話したことないのに告白なんてして玉砕だなんてわらい話にもなんない。
『っ…そ、ろそろ寝ようかな…明日も朝から早いし!!…ま、またね!』
この場から逃げるように足を動かした。
明日からの私はもう決まったようなもんで。
こんな近くでずっと見られるのは明日で最後。
自由行動は一人で回るんだから、
鹿と戯れようと血涙を心の中で流し足に力をいれこの場から去ろうとした。
だが、ぱしっとした音が私の動きを封じる。
足に力を込めても、体はびくともしない。
どうして体が動かないのはわかる。
手首を掴まれれているからだ。
その原因は先程一緒にいた無一郎君だと言うことも…。
なんで手首を掴まれたのか、なんで私を止めているのか、無一郎君の気持ちは読めない。伝わらない。怖い。
やっぱりさっきの言葉は誤魔化せなかったかも。
となれば、無一郎が言う言葉はわかる。
告白の返事だ。