第36章 願掛けて願いよ届け時透無一郎☆
『ふぅ~…気持ちいい…極楽極楽…』
「あんた…本当に親父臭いよね…」
夕飯を食べ終えた私達は、そのままお風呂場に直行した。
体を綺麗に洗った私は、お湯に浸かりホッと息を吐く。
白い息が湯気と交わるのをどこかボケーッと眺めているとゆかも一緒に温泉に入る。
「もう1日が終わろうとしてるのに、それでいいの?
今日時透弟とあんまり話してないじゃん」
『うっ…そ、それはですね…無一郎君が眩しすぎて…神々しい光が私には耐えられんくて…』
「…頭、大丈夫?」
ゆかは盛大にため息をつくと私の頭に手を起きペシッと軽くたたく。
「さっきも時透弟、女子達に囲まれてたよ?もう少し積極的にいかないと…取られるわよ」
『あはは…嫌なこと言うね…』
ゆかの言う通り。うかうかしてたら他の子にとられてしまう。
それほど、無一郎君は人気もの。
周りの女子はとても可愛くて、女の子らしくて…それに比べて私は…。
『か、勝てる気がしない…』
「くよくよしても始まらんでしょ、あんたの唯一の取り柄は元気さ。それがなくなったらお終いじゃない」
『ねぇ、元気付けようとしてくれてるんだよね??』
ゆかの言葉が鋭利な刃物のように
私の胸に突き刺さったような気がするけど、きっとゆかなりに元気付けようとしてくれてると解釈し
ゆかより早めに湯から上がった。