第35章 疑惑 時透○一郎
「ただいま~」
仕事が終わり、家に帰るといつもは明るいわが家が暗かった。出迎えてくれるもいない。
「~?いないの?」
靴を脱いで、の部屋へと足を向ける。
の靴はあったから、寝てるのかな?
そう思った僕は、の部屋の前でノックをしドアを開ける。
「…あれ?いない?」
ドアを閉めて、奥にある僕の部屋へと視線を向ければ、ドアが半開きになっていて、まさかと思い急いでドアを開ければ、写真たてを持ったがうつ向いたまま床に座っていた。
「…思い出しちゃった?」
そう尋ねる僕に、ゆっくり頷く。
照明のスイッチをONにすれば、今まで泣いていたのだろうか、涙で濡れ赤くなった目蓋でこちらを見つめていた。
『…どうして、嘘をついたの…』
全ての感情を出しきったように
その問いかけは無に近かった。
壊れかけのに近づくと、ビクッと肩を揺らして、今度はこちらを疑惑の眼差しで見上げた。
「…そっか…全部思い出しちゃったのか…そうだよ…僕は君の恋人じゃない…今はね」
『…っ…?!』
「そんなに怒んないでよ…どっから話そうか…」